おもひでぽろぽろ - レビューと感想

おもひでぽろぽろ

  • 作品名 : おもひでぽろぽろ
  • 公開年 : 1991年
  • 監督 : 高畑勲

岡島タエ子が休暇を利用して東京から山形へと行き、農業を体験するお話です。「現在(27歳の岡島タエ子)」の中に小学校5年生の時の回想を交えた形で描かれています。

物語全体

「おもひでぽろぽろ」は見る人を選ぶ作品なのだろうと思いますが、姫に関して言うならば全く興味が持てない内容の作品でした。

描画面では人間の行動や物の動きをきちんと見せようとしているところが全体を通して目立ちました。しかし、先ずはお話の内容を魅力的なものにする事に意識を向けなければならなかったように思います。きちんとした動きや絵を見たくて物語を見ると言う人だけを相手に作品を作るのであればそれでも良いとは思いますが。

2時間程度の物語になっていますが...これに就いては時間の取り過ぎのように感じました。視聴者としての素直な感想を言うともう少しコンパクトに纏めて欲しかったです。(これで面白かったり夢中になって見る事が出来るような作品であれば2時間と言う時間を「長い」とは言わない(感じない)のですが、「おもひでぽろぽろ」の場合はそうでは無く、退屈な時間が多くあり、2時間と言う時間がただただ長く(実際の時間よりも長く)感じました。)

ジブリ作品では素人のような声が使われる事がこれまでにもありましたが、この「おもひでぽろぽろ」では脇役だけでなく主役と思われる2人(タエ子とトシオ)までが素人のような声になっていました。

登場場面や台詞が多く無い幾人かがと言う程度ならばまだ耐えられますが、中軸となる人物までが素人のような声と言うのは姫には受け入れられませんでした...。その耐え難い状況が興味の無い物語と共に2時間...停止ボタンを押さずに見終えた姫は「頑張った」と言って良いのだと思います。そうでなければ報われません...。

気になったところ/不思議に思ったところ

岡島タエ子の周囲では食べ物を残す事を積極的には許していないようでした。姫は食べ物に関しては好きな物を好んで食べ、嫌いな物を避けて済ませる傾向があるのですが、食べ物を残して怒られたと言う事はこれまでになく、それが問題になるような環境も、やはり、あるところにはあるのだなと思いました。

岡島タエ子が算数のテストで25点を取った事に対して家族はそれを大事のように扱っていましたが、これも少し不思議な光景でした。姫はあやちゃんが言うには「猫並みの脳」しか持っていないらしく、自分でも「極度に頼りない脳」だと認識しています。全教科が苦手ですし、漢字はまともに使えず、九九に就いては全ては言えません。しかし、それでも許されている(怒られた事など無い)姫からすると、九九が全て言えて25点も取る事が出来た岡島タエ子が、家族から問題が発生したかのように扱われている光景はとても奇妙なものに見えました。姫の環境では有り得ない事ですので。恐らく、岡島タエ子の場合は他の教科の出来が良く、算数も普段はそこまで悪く無かった事から25点と言う点数が問題となっているのだと思います。25点も取っておきながら満足するどころかそれが問題になるとは...標準値が高い人間、目標が高い人間の何と羨ましい事か...。

田舎のおばあさんが岡島タエ子に対してトシオとの結婚話を唐突に持ち出していましたが、こう言う事は田舎の人にはよくある事のなのでしょうか...。姫には確認する術はありませんが、もしそうだとするなら田舎は恐ろしいところだと思います。いくらタエ子が田舎暮らしや農作業に理解があり、トシオがタエ子に対して好意を持っているにしても、当事者を飛び越えて結婚話が出て来るとは...。タエ子やトシオが切り出すのであれば分かりますが。

「おもひでぽろぽろ」の評価 : 2点

「おもひでぽろぽろ」は、恐らく、姫のような子供が見ても面白いと思える話では無いのだと思います。少なくとも姫は全く興味を持てませんでした。そのような事もあり、ただ長いだけの作品に感じました。

物語全体を通して素人のような声をずっと聞いていなければならなかったのも辛かったです。常に違和感を与え続けられていましたので。途中からは長く退屈なお話と相俟って「どこまで耐える事が出来るかな。」と言った挑戦を受けているかのような錯覚さえ起こりました。

作品を見終えた後には自分の中に何らかの被害にあったような不思議な感覚が残りました。退屈な時間が積み重なって行く中で途中からは見ている事に苦痛さえ感じていたのですが、それを勝手に(停止しようと思えば停止出来たところを停止するのを我慢して)最後まで見続けて勝手に(自分の責任を棚上げして)抱いた被害者意識なのだと思います。これは単に姫が悪いだけであり、「おもひでぽろぽろ」のせいで無い事は分かっているのですが、ついつい、勘違いしてしまいそうになるところです。接し方の難しい作品だと思います。

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